朝日学園に正規教員 児童自立支援施設、13年度配置目指す :河北新報  2011/03/01

 山形県は、子どもの社会復帰を図る児童自立支援施設の「県立朝日学園」(大江町)に正規の教員を配置し、学校教育を導入する方針を固めた。1997年の児童福祉法改正で学校教育が必要になっていたが、現在は正規教員ではない職員が授業をするなど対応が遅れていた。新年度から先進地の視察など調査を進め、2013年度の実施を目指す。
 園生はかつて、生活習慣や社会性の確立を優先して義務教育が猶予されていた。児童福祉法改正で、小中学校に通うか施設内で学校教育を行うよう義務付けたが、具体的な期限のない経過措置も認められている。
 朝日学園では職員16人のうち8人が教員免許を持ち、国語や数学などを教えている。ほとんどが嘱託職員で、指導しながら教員採用試験を受ける職員もいるという。
 2月1日現在の園生は小学生1人、中学生8人、中卒以上1人の計10人。かつては非行少年の教育が施設の主な役割だったが、法改正で、虐待を受けたり、学校に適応できなかったりして生活指導が必要な子どもも受け入れるようになった。現在は両者の割合が半々という。
 松本武士園長は「学力のある子どももおり、中学3年の場合は本人も親も高校進学を希望するケースが多い。正規の教員の配置で教育レベルが向上する」と県の方針を歓迎する。これまでは進学希望者に、通常は午前中だけの主要科目の授業を午後も行うなど工夫してきたが、限界があったという。
 児童自立支援施設は全国に57施設あり、青森、岩手、宮城、秋田県の4施設を含む42施設では、園内に分校・分教室を設けるなど、既に学校教育を実施している。福島県は教員5人を知事部局に出向させ、常勤の支援員として派遣。東北で実質的に「教員ゼロ」は山形県だけだった。
 山形県は対応の遅れについて「入園者が他県より比較的少なく、教員不在でもきめ細かい指導ができていたためではないか」(子ども家庭課)と説明。学校教育の実施に向けて県教委や大江町教委と協議を始めており、新年度一般会計予算案に関連費用として約20万円を計上した。
 県子ども家庭課の中山順子課長は「適切な指導と教育で、子ども自身が達成感を感じ、自信を持つことが重要。学園の事情にも配慮し、協議を進めたい」と話している。


児童自立支援施設児童福祉法に基づき、非行少年や被虐待児童らの社会復帰を図る施設。児童相談所の措置により、原則として18歳までの児童を受け入れる。東北には朝日学園と、子ども自立センターみらい(青森市)、杜陵学園(盛岡市)、さわらび学園(仙台市太白区)、千秋学園(秋田市)、福島学園(須賀川市)の県立6施設がある。法改正前は「教護院」と呼ばれていた。

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学校教育実施がなされていない施設がわずかになりつつあります。
大阪府も同時期の実施を目指しているようです。
修徳さんは人数も多いからか、本校方式を考えているようですね。

高梁市出身の鶴岡幸助物語「大地の詩」公開 2011年02月19日 asahi.com

■家庭愛、今こそ


 高梁市出身で明治から昭和期に少年の更生に力を注いだ留岡幸助(とめ・おか・こう・すけ)(1864〜1934)の生涯を描いた映画「大地の詩(うた)・留岡幸助物語」が完成し、19日から県内で上映が始まる。製作費の支援などで協力した県内の福祉関係者らは、「映画を通して家庭愛を大切にした留岡の生き方を知ってほしい」と呼びかけている。(八尋紀子)


 留岡は18歳で洗礼を受け、同志社英学校(現・同志社大)へ進んだ後、牧師になった。明治24(1891)年に北海道・空知(そら・ち)で監獄の教誨師(きょう・かい・し)になり、受刑者と接する中で少年期の家庭教育の大切さに気づくと、少年の更生について学ぶため米国へ留学。帰国後の同32(1899)年に東京・巣鴨に、大正3(1914)年に北海道遠軽(えん・がる)町に少年更生施設を創設。現在も同町にある「北海道家庭学校」で妻とともに入所する子どもたちと一緒に生活しながら、亡くなる直前まで家庭愛に基づく教育に取り組んだ。


 映画の監督は、明治期に岡山で日本初の孤児院を開いた石井十次を取り上げた映画「石井のおとうさんありがとう」(2004年公開)などの作品で知られる山田火砂子(ひ・さ・こ)さん(79)。テレビドラマ「必殺シリーズ」「ゲゲゲの女房」などに出演した村上弘明さんが留岡を、米映画でも活躍する工藤夕貴さんが留岡の妻を演じた。昨秋には高梁市内で撮影もされた。


 製作費を支援するため、留岡を慕う県内の福祉関係者らが昨年から、映画鑑賞券を兼ねた製作協力券(千円)を販売。高梁、岡山両市を中心に約1万枚が売れたという。


 事務局を務めた岡山市北区児童養護施設「南野(なん・や)育成園」の叶原土筆(かな・はら・つく・し)園長(75)は、留岡が唱えた家庭教育の大切さに共感。児童自立支援施設の県立成徳学校(同市中区)に定年退職するまでの約30年間、夫婦で住み込み、留岡の精神を実践した。


 叶原園長は「家庭の存在感が薄れている今こそ、留岡が貫いた家庭愛の大切さを知ってほしい」と話す。


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映画の先行上映が始まっているようです。映画の記事は他にもたくさんあるのですが、このasahi.com 記事の中では読みまで書いているにもかかわらず、題字では「鶴岡」となっている残念な記事。
ついでに、叶原さんって懐かしい。全教協の会長を長いことされていた方ですよね。

新聞記事:児童自立支援施設、堺市に整備要望へ 2011年1月12日

 親から虐待を受けたり、非行を繰り返したりした子どもたちが入所する児童自立支援施設について、大阪府橋下知事は11日、府立施設で対象児童を受け入れている大阪府堺市に対し、市立の施設を早急に整備するよう求める考えを明らかにした。

 児童福祉法に基づく同施設は都道府県と政令市に設置義務があり、府内には府立と大阪市立の1施設ずつがある。堺市政令市になった2006年度から5年間、「府立修徳学院」(柏原市)に同市の定員21人分を委託。府との協定で今年度末までに新施設を建設することになっていたが、「用地確保が難しい」との理由で整備のメドが立っていないという。

 この日、修徳学院を初視察した橋下知事は、「キャパシティー(収容能力)が足らないのに堺市からの受け入れを続けるのはおかしい。政令市としての責任をしっかり果たしてもらう」と話し、堺市が整備計画を示さない限り、来年度の委託更新を認めない方針を示した。

 同学院は1923年に現在地に移転した旧教護院で、現在、中学生など男女97人が6〜12人ずつに分かれて、「家族」として寮生活を送る。寮長、寮母となる職員夫婦8組もそれぞれの寮に居住し、人材難などから夫婦制の維持が課題になっている。

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以前から囁かれていた、堺市。しかし、政令指定都市に必置義務があるとはいえ、実際に政令指定都市児童自立支援施設を持っているのは、横浜・名古屋・大阪・神戸のみ。残りは全て、委託でしょう。記事を読めば、需要はありそうなものの、都市部での用地確保は難しいでしょうね。府内には、大阪市の阿武山学園がありますが、ここは、市外地に立地しており、学校教育実施では苦労しているとも聞きます。課題山積なんでしょうね。でも、実際に設置されれば、大阪府内に4つの児童自立支援施設ができるってことですな。
道州制なんかはまったく考えにないのでしょうかね。もっとも大阪が日本から独立するかもしれんしね。

タイガーマスク運動?

年明けから、心あたたまる話が続いています。
児童自立支援施設も具体的に施設名の出ているところもありますね。
記事が多すぎです。

この、直前には、Googleのニュース検索で「児童自立支援施設」を検索しても、ほとんど更新がなかったのに、最近では児童養護施設等への関心が強まっていることが伺われます。これはタイガーマスクの大きな功績だと思います。すでに、意見が出ていますが、「モノを寄付して終わり」ではなく、ここから新たな動きが始まれが良いのでは。

帰りたい:子供にシェルターを/上 母の暴力に家出繰り返し /京都  毎日.jp 毎日新聞 2011年1月3日 地方版

 ◇欲しかった自分の居場所
 「子供のころ、雨が降る日はこんな場所でしのいだこともあった」。公園に設置された遊具のトンネルを指さし、京都市の会社員、昇さん(22)はつぶやいた。

 未婚の母の虐待から逃れるため、初めて家出をしたのは小学校に入学したばかりの6歳の時だった。京都市内で祖父母と母、双子の兄の5人で暮らしていたが、情緒不安定な母から暴力を振るわれ、頻繁に家を抜け出した。もちろん現金などなく、食べ物を盗んでは空腹を満たした。

 自宅が火事になり、2年間養護施設で過ごしたが、9歳の時に1人暮らしをしていた母に引き取られた。しかし、暴力に耐えかね、1カ月で兄を残して祖父母の自宅に逃げ込んだ。12歳の時に再度母に引き取られたが、母の暴力はやまず、兄と2人で家を出た。2日間、橋の下で寝て過ごし、市内をうろついているところを児童相談所の職員に保護され、養護施設に入った。

 養護施設は同世代の子供ばかりだったが、心を許せる友達はできず、相談できる職員もいなかった。職員が寝た後に2、3人で養護施設を抜け出しては夜遊びし、バイクを盗んだこともあった。14歳の時、注意する職員に殴られて、養護施設を飛び出した。友人の家を転々とし、寝る場所が確保できない時は公園で野宿した。中3になる前に祖父母宅で暮らすようになったが、中学校へ放火した仲間と共に建造物侵入容疑で逮捕され、児童自立支援施設へ入った。

 児童自立支援施設を脱走しては連れ戻されることを繰り返した末に、再び祖父母宅で生活するようになり、親戚が経営する建築業を手伝うようになった。窮屈な学校に行くことを考えれば働くことも嫌ではなかったが、人間関係になじめず、職を転々とした。弁護士名義で借りたアパートで暮らしていた18歳の時、遊ぶ金欲しさに仲間と飲食店の金を盗んで窃盗容疑で逮捕され、少年院へ送られた。

 逮捕された当初、「自分は悪くない」と他人を責めたが、少年院で自分を見つめ直す時間ができ、次第に原因は自分にあると考えるようになった。「自分のためになる」と初めて勉強に専念し、大学入学資格検定(大検)の合格を目指した。19歳で少年院を退院してからも、パチンコ店で働きながら大検合格のために勉強を続けた。派遣会社を経て、住宅リフォーム会社に就職して1年半。仕事で忙しい日々を送るが、「この会社で仕事を続けたい」と意欲を示す。もう、人間関係で嫌なことがあってもすぐ辞めようとは思わない。

 これまで、幼いころから生活する環境が短期間で変わり、自分の居場所はなかった。しかし、最近やっと居場所を見つけたと感じるようになり、こう思うのだ。「子供のころ、寝て食べる場所と、自分を受け止めて一緒に考えてくれる人が欲しかった。そうすれば、あんなこと(窃盗)をしなかったのに」

     ◇

 親の虐待などで帰る場所がない10代の子供たちの中には公的施設の受け入れから漏れるケースもあるなど、支援体制は十分とはいえない。このため、子供たちの就職支援や医療機関への受診援助などをする一時避難場所「子供シェルター」を京都に開設しようと少年事件を担当する弁護士らが取り組んでいる。しかし、運営費や開設場所の確保など課題は山積している。【古屋敷尚子】

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現在、シェルターがあるのは、東京・横浜・名古屋・岡山でしたっけ。
現実には対処療法的に緊急に受け入れる場所を確保していくことも必要。

でも、近年の虐待の増加を見ていると、根本的な解決にはならないのではないかと心配です。
子どもは減っているのに、虐待は増える。虐待を受けた子は「負の連鎖」へと。
おそらく、現在、虐待をしている親も、かつては被虐待児。
根本的な解決方法を模索していかなければ、いくら箱を作ったところで…

(決して、箱を作る方々を非難しているわけではありませんので。)

「一人じゃないよ」100人エール 少年院へ歌の贈り物 2010年12月24日 asahi.com

 自分を信じて立ち直って――。そんな願いを込めた歌を宮城県名取市の作家で保護司の大沼えり子さん(53)と、東京や岩手で活動するシンガー・ソングライター松本哲也さん(34)が作った。自殺未遂や引きこもりなど苦しい体験をした若者を含む約100人が合唱し、収録したCDはクリスマスプレゼントとして全国52の少年院に贈られる。

 大沼さんは地元ラジオでDJを務め、地域で子育て相談に応じるなか、2001年11月に法務省の要請で保護司になった。翌月、初めて少年院を訪問して以降、自ら音楽を紹介するテープやCDをつくり、仙台市青森県の三つの少年院に贈ってきた。保護司10年目の今年、全国の少年院に贈る歌を作ることにした。

 作曲は、5年前に知り合い、思春期に傷害事件を起こして児童自立支援施設にいたことのある松本さんに頼んだ。

 「眠れず 迎えたこの夜明け 枯れ果てた心へ 陽(ひ)は差し込む」「やがて虹色花風 優しく君を包む」……。

 松本さんと2人で作った歌詞には、誰もが持っている優しい心で将来に向かってほしいとのメッセージを込めた。題名は歌詞の言葉から「歩きつづけて Fangs of Glass(ガラスの牙)」にした。

 少年の更生を支援する仙台市NPO法人「ロージーベル」理事長も務める大沼さんは、電話で若者の悩み相談も受けている。「誰かの役にたてると自信をつけてほしい」。相談に応じてきた若者にも歌への参加を呼びかけた。

 11月22日夜、収録会場となった名取市文化会館に近くの中学生ら約100人が集まった。仙台市の男性(33)の姿もあった。10月に自殺しようとしたが、携帯電話に登録していたロージーベルの窓口にかけて思いとどまった。今は絵を描いて暮らす。「前向きに生きていきたい」。自らに呼びかけるように歌った。

 東京都葛飾区に住む無職の男性(20)は中1から引きこもり状態が続くが、1年前から大沼さんと電話やメールでやりとりをしている。歌い終えて「人と協力して歌うことが新鮮だった」と話した。

 CDは、クリスマスイブの24日に届くように発送した。大沼さんは「もがきながら生きる若い子たちが歌った。少年院の子にも『一人じゃないよ』と伝えたい」と話している。(一色涼)

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松本さん、直接お会いしたことはないのですが、最近よく耳にします。
児童自立支援施設」を冠して活動される方はすくないので稀有な存在です。
一度、お会いしたいなぁなんても。

新聞記事:山寺コンサート:興隆寺の「二月会」再興へ 和太鼓、狂言、可愛い紙芝居も /山口 毎日新聞 2010年10月24日

江戸時代末期に途絶えた山口市大内御堀、興隆寺の祭り「二月会(にがつえ)」の再興を目指す「第2回山寺コンサート」が23日、同市大内御堀の県立育成学校であった。

 二月会は、五穀豊穣(ほうじょう)を願って、子どもたちによる舞や弓の腕を競う歩射(ぶしゃ)などが行われ、大内氏が最も大事にした祭りといわれ、2月半ばに開かれていた。

 コンサートでは、児童自立支援施設の子どもたちによる和太鼓の演奏のほか、山口市に伝わる鷺流狂言の「柿山伏」などが披露され、集まった観客は熱心に鑑賞していた。

 カンガルーポケット保育園の園児11人は「のりこんで」「おはぎがお嫁に」などのわらべうたと紙芝居を披露。約2カ月かけて練習したという紙芝居の「じゅげむ」は、セリフをすべて暗記して臨んだ。金本倫君(6)は「言葉が難しかった。でもうまくできたと思う」と笑みを浮かべた。【井川加菜美】
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太鼓をしている施設は幾つかあるのですが、三重の千人大鼓なんかもすごいけど、山口さんは地域の祭りにも積極的に参加されているようです。また、この会場が育成学校を提供しているようです。
地域との連携が素晴らしいですね。

今まで、住み込み職員がいましたが、今後、交替制に移行していくとも聞いています。地域との連携を維持していっていただけることを願っております。