「一人じゃないよ」100人エール 少年院へ歌の贈り物 2010年12月24日 asahi.com
自分を信じて立ち直って――。そんな願いを込めた歌を宮城県名取市の作家で保護司の大沼えり子さん(53)と、東京や岩手で活動するシンガー・ソングライター松本哲也さん(34)が作った。自殺未遂や引きこもりなど苦しい体験をした若者を含む約100人が合唱し、収録したCDはクリスマスプレゼントとして全国52の少年院に贈られる。
大沼さんは地元ラジオでDJを務め、地域で子育て相談に応じるなか、2001年11月に法務省の要請で保護司になった。翌月、初めて少年院を訪問して以降、自ら音楽を紹介するテープやCDをつくり、仙台市や青森県の三つの少年院に贈ってきた。保護司10年目の今年、全国の少年院に贈る歌を作ることにした。
作曲は、5年前に知り合い、思春期に傷害事件を起こして児童自立支援施設にいたことのある松本さんに頼んだ。
「眠れず 迎えたこの夜明け 枯れ果てた心へ 陽(ひ)は差し込む」「やがて虹色花風 優しく君を包む」……。
松本さんと2人で作った歌詞には、誰もが持っている優しい心で将来に向かってほしいとのメッセージを込めた。題名は歌詞の言葉から「歩きつづけて Fangs of Glass(ガラスの牙)」にした。
少年の更生を支援する仙台市のNPO法人「ロージーベル」理事長も務める大沼さんは、電話で若者の悩み相談も受けている。「誰かの役にたてると自信をつけてほしい」。相談に応じてきた若者にも歌への参加を呼びかけた。
11月22日夜、収録会場となった名取市文化会館に近くの中学生ら約100人が集まった。仙台市の男性(33)の姿もあった。10月に自殺しようとしたが、携帯電話に登録していたロージーベルの窓口にかけて思いとどまった。今は絵を描いて暮らす。「前向きに生きていきたい」。自らに呼びかけるように歌った。
東京都葛飾区に住む無職の男性(20)は中1から引きこもり状態が続くが、1年前から大沼さんと電話やメールでやりとりをしている。歌い終えて「人と協力して歌うことが新鮮だった」と話した。
CDは、クリスマスイブの24日に届くように発送した。大沼さんは「もがきながら生きる若い子たちが歌った。少年院の子にも『一人じゃないよ』と伝えたい」と話している。(一色涼)
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松本さん、直接お会いしたことはないのですが、最近よく耳にします。
「児童自立支援施設」を冠して活動される方はすくないので稀有な存在です。
一度、お会いしたいなぁなんても。