新聞記事:免許なし職員も授業…子供の不利益、現場は懸念 読売新聞 2010.06.23

 入所する小中学生を就学させることが義務づけられた児童自立支援施設の一部で法改正後も12年にわたり、学校教育が行われていない実態が明らかになった。

 施設の現場では改善を求める声も強く、専門家も「憲法で保障されている権利が守られていない事態は早く改めるべきだ」と指摘する。

 横浜市保土ヶ谷区にある市立横浜向陽学園。入所する中学生12人は寮生活をしながら、学習や作業、クラブ活動を行い、施設内で1日を過ごす。学習は施設の福祉職員5人が指導する。

 ある教室では、録画したテレビのバラエティー番組が流れる中、男子生徒が寝そべったりしながらパズルやプリント学習を行っていた。

 「集中力が続かず、3、4時限目はリラックスする時間にしている」。梨本哲園長はそう説明する一方、「職員は教員ではない。子供の学習意欲や集中力を引き出す力が不足しているのも事実」と打ち明けた。

 大阪市立阿武山(あぶやま)学園(大阪府高槻市)では、入所する小中学生44人の中には、親から虐待を受けたり、発達障害を抱えたりする子供もいる。学籍は入所前に通っていた小中学校にある。

 大阪市教委の教員2人、教員免許を持つ非常勤講師5人が配置され、小中学校と同様に時間割を組んで学習指導しているが、正規の学校教育ではない。教員免許がない施設職員も授業を担当しなければならず、授業時間は学習指導要領で定められた6〜7割程度だ。

 岸喜芳園長は「学校教育を早期に実施したい。福祉職員は、子供と信頼関係を築き、生きる自信も引き出しながら、自立を支援するプロ。施設での教育は、職員と教員の連携が不可欠」と訴える。

 施設を管轄する大阪市子育て支援部は「分校などを設置すると、校名から施設出身者とわかる可能性がある。入所する子供の不利益とならない方法の検討も続けている」と釈明する。

 小林英義・東洋大教授(児童福祉論)の話「教育を受ける権利が公の施設で守られていない事態は、法の改正時、国が十分に議論しないまま、各自治体に施設での教育のあり方を任せたのが原因で、早急に改善すべきだ」

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 学校教育の実施については、ごもっともなのですが、学校教育実施前の教護院の学習を否定するのはいかがなものか。
直接、否定はされていませんが、学校教育実施のされていない施設での授業風景(上記のような)をあげて、
学校教育を実施していないこと=常軌を逸した授業風景=前体制の教育体制はイカン というような構図になってもよいのかな。

 上記のような授業風景はヒドすぎ、学校教育を実施させるための恣意すら感じます。普段やっていないことをやって体裁を取り繕うのもダメだと思うけど、向陽学園さん 普段はいったい何をやっているの?
 学校教育を実施している施設でも、何もないところから入れているわけではなく、今までの実績の上に「更に良いものにしよう」という気持ちで関係機関と協議実施している施設もあるはずです。
 このような記事で学校教育実施をしていない施設や、実施していなかった時期の学習指導を否定するようなことはやめてほしいですね。

 しかし、各施設のやりようや、実態については58施設あれば58通りといわれうのですが、レベルの低い状況を出して全体が推測されるというのは困りもの。