ビースマイルプロジェクト:困難抱える子、漫画家らが支援  ネットより 毎日.jp

 ◇施設訪問や基金設立 24日からオークション
 人気漫画家が集まり、困難を抱える子どもたちを応援するボランティアグループを発足し、24日からサイン色紙のチャリティーオークションを始める。名前は「ビースマイルプロジェクト」。漫画家たちのさまざまな思いが込められている。【榊真理子】

 きっかけを作ったのは「恋愛ジャンキー」などの作者、葉月京さん。娘の友達が家に遊びに来た時、体中にたばこを押しつけた跡があることに気づいた。「つらい状況にいる子どもたちのために何かできないか」。北朝鮮拉致事件を描いた「めぐみ」などの作品がある本そういちさん(46)に相談し、昨春、本さんを代表にプロジェクトを発足。アニメ関係者なども含め約50人が賛同した。

 当面の活動は、虐待や家庭の問題で傷ついた子たちをケアする「情緒障害児短期治療施設」への訪問だ。昨年は長崎県の「大村椿の森学園」(長野真基子園長)を3度訪れた。

 同園では小学1年生から18歳までの約40人が暮らしている。漫画家たちが到着すると、みんなが飛びついて大歓迎。本さんは「人懐っこくて明るい」と感じたが、後で考えると、他の子どもたちとは甘え方が違う。「初めて会った人という感覚があまりない。人との距離感を取りづらいんだ」と気付いた。

 メンバーは一人一人にノートを渡し、会うたびに絵を描いている。2度目に訪れた時、表紙に書いた自分の名前をペンで塗りつぶしていた子が何人もいた。理由を尋ねると「(自分が)好きじゃないから」と言う。

 職員に聞いた彼らの過去は想像を絶していた。頭から漂白剤をかけられた子。ベランダに鎖でつながれた子。母親と3人での性交を迫られた子−−。葉月さんは「問題が深くて、自分もしんどくなる。絵でコミュニケーションを取り、一日でも楽しい日を作りたい」と話す。

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 生徒と共に悩み成長していく教師を主人公に描き、ドラマ化された人気漫画「GTO」(講談社)。作者の藤沢とおるさん(42)も活動に参加している。毎日新聞の今回の取材を機に、自らも施設で暮らしていたことを公表した。「傷ついている子がいて、それは大人が作っているということを伝えたい」

 「子どもに甘えられるのは苦手」という藤沢さんだが「出身者として、最近の施設を見たい」と、昨夏の訪問に加わった。中学生の女の子が「トリマー(ペットの美容師)になりたいけど、生活の安定のために自衛隊に入る」と言うのを聞いて「頼る人がいないことを前提に道を決める。おれと同じだ」と思った。

 藤沢さんは両親が別居し父に引き取られたが、父があまり家にいなかったため、夜遊びなどで寂しさを紛らわせていた。その後、小学3年で東京の教護院(現児童自立支援施設)に入り、6年から中学3年までを千葉の児童養護施設で過ごした。

 当時の施設は「ルールを守らせ、社会に恥ずかしくない子どもを作る時代」。教護院では毎朝マラソン1キロ、職員に「指導」という名の暴力を受けることも珍しくなかった。養護施設でも髪を染めたりすると8時間正座させられたという。

 「会いに来る」と約束した父は全く面会に来なかった。中学を卒業すると母に引き取られたが、母は病に倒れる。その後17歳で上京、漫画家を目指した。「恩はあるけれど、今でもお母さんとは呼べない。一緒に過ごした時間が短すぎたんです」と打ち明ける。

 藤沢さんは現在、週刊少年マガジンで「GTO SHONAN 14DAYS」を連載している。主人公の教師、鬼塚英吉児童養護施設に14日間住み込み、子どもたちの心の扉を開いていく。リストカット、いじめ、親の強引な引き取り。「虐待などの話を施設訪問で聞いて、おれたちの時代とは背景が違うと思った。今の子たちの傷を描きたい」と話す。

 連載に対し、ある施設の職員からは「面白おかしく書かないで」という手紙が来た。文面から、施設が依然としてタブー視されている印象を受けた。藤沢さん自身も、施設で暮らしたことは周囲にほとんど明かしてこなかった。「子どもに責任はないのに、恥ずかしく思うのはおかしい。連載を通して施設に関心を持ってほしい。そして、今後も施設を訪ねて子どもたちと絵を描き、彼らを裏切らない大人になりたい」

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 オークションは3週間、ヤフーのチャリティーオークションサイトで実施。葉月さん、本さん、藤沢さんのほか、「毎日かあさん」の西原理恵子さんら約30人の漫画家が出品する。収益で基金をつくる予定だ。使途は未定だが「お金を寄付して終わるのではなく、子どもたちが自力で行動できるような応援をしていきたい」と本さん。施設で聞いた声を漫画化し、子どもたちに原稿料を払うことも検討している。詳細はホームページ(http://besmile.org/)

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教護院時代のエピソードが載ってますが、当時はこれが当然のことだったようですが、現在は大きく変わってますね。時折、体罰云々で新聞等に載りますが、それが異質なものになってきているからでしょう。