新聞記事:福祉施設「貯蓄回せず」 きょうから子ども手当支給       琉球新報 2010年6月1日


 中学生以下の子どもがいる世帯を対象にした子ども手当の支給が1日から始まる。県内では4日に金武町など1町2村、そのほかの市町村も10日までに支給される予定だ。子ども手当児童福祉施設に入所する児童のうち、父母がいなかったり、父母はいるものの過去1年内に児童との交流がない場合は、施設に対して補助金として相当額が助成される。しかし、補助金は年度内に使い切らなければならず、貯蓄にも回せないため、施設からは「子どものためにならない。施設の子どもに必要なのは将来自立するための貯蓄」との声が上がっている。
 国は本年度、子ども手当との財源とは別に設けられた、待機児童解消などを目的とした「安心こども基金」から補助金を拠出するとしている。ただ、補助金は当該児童のための物品購入費や旅費、交通費にしか使えない。
 南城市児童養護施設「島添の丘」の玉城孝施設長は「貯蓄ができれば、どれだけ子どものためになることか」とため息をつく。同施設は入所児童の約7割が被虐待児。虐待をする親のほとんどが経済的に苦しく、子どもが大学に進学する場合も親の支援は望めないという。施設から社会に出る子どもたちはアルバイトをして、アパートを借りたり、運転免許取得のための資金を作る必要がある。
 内閣府の調査では子ども手当支給対象の子を持つ親のうち48%が「貯蓄に回す」と回答している。玉城施設長は「子どもは何も悪くないのに、どうして施設の子どもは将来のための貯蓄ができないのか」と制度の不備を嘆いた。
 別の児童養護施設の施設長は「施設の中で特定の子どもだけに洋服を買ったり、旅行に連れて行くことは不公平になる」と現実的に「使えないお金」であると指摘。さらに「施設には扶助費として税金が投入され、生活は保障されている。その上に補助金を出すのは公金の二重払いではないか」と疑問を呈する。
 国は虐待をした親でも現児童と交流がある場合などは子ども手当の支給対象としている。施設長らは「虐待をする親はギャンブル依存やアルコール依存の問題を抱えているほか、ほとんどが生活保護世帯。その親たちが子どものための貯蓄をするとは考えにくい。親ではなく子ども個人に支給できるようにするなど制度を見直すべきだ」としている。(玉城江梨子)


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またまた、出ました。どこでも同じ意見が出ているようですね。