新聞記事:子ども手当:施設入所児童向け特別支援、貯蓄認めず  毎日新聞 2010年6月2日 東京夕刊

 子ども手当の支給対象外となっている児童養護施設の入所児童が、代替措置として同額を受け取れる国の「特別支援事業」で、厚生労働省が給付金の貯蓄を認めず、全額使い切りを義務付けていることが分かった。施設側から「子ども手当にはない制限で不公平だ」と改善を求める声が上がっている。

 特別支援は、施設が入所児童のために学用品を買ったり、旅費などとして支出したりした分を月1万3000円を上限に助成される仕組みだ。厚労省の運営指針によると、特別支援は補助金給付のため施設からの実績報告と都道府県などによる精算確定が必要。将来の進学や自立に備えて貯蓄しようとしても「施設に子供の財産の管理権はない」として認められない。

 厚労省は3月末、都道府県に指針を通知。千葉県では4月、県内17施設の担当者を集めて説明会を開いた。施設側から「毎月使い切っていては高校や大学に進学する費用もためられない。実態を無視した制度だ」「子ども手当なら貯蓄できるのに」との声が相次いだ。子ども手当の場合、使途は自由。内閣府は4月末、子ども手当支給対象者の親に対する調査で、「貯蓄に回す」との回答が48・2%に上ったと発表している。

 厚労省によると、全国の児童養護施設の入所者は約3万人。4〜17歳の39人が入所する千葉県松戸市の「晴香園」の箱田久美子施設長(58)は「年齢が上がるにつれて必要な費用が増える。貯蓄できれば高校受験など本当に必要な時期に使えるが、このままでは幼い子供の分は有効に使い切れず、返却するしかない」と困惑する。

 これに対し、厚労省の担当者は「不公平だとの声があることは把握している。しかし、補助金のため、制度上、用途の報告がどうしても必要となる。預金した場合、将来にわたって用途を確認するのは困難」と話す。

 特別支援は都道府県が預かる「安心子ども基金」から拠出するため、制度的にはすでに給付可能だが、自治体の準備が追いつかず、全国で事業開始が遅れている。【西浦久雄】

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
先日も上げた件です。まったく、その通りなのですが、何のためのお金なのか、よく考えて欲しいですよね。