新聞記事:出雲・父刺殺自立施設送致 「次男健全育成図れる」 弁護士処分内容に理解

 出雲市で父親(43)を刺殺したとして、松江家裁に送致された市立中2年の次男(13)に、児童自立支援施設送致の保護処分が下された4日、少年審判に出席した次男の付添人の鳥居竜一弁護士(30)が松江市内で記者会見した。鳥居弁護士は、次男が落ち着いた様子で処分を受け止めていたことを明らかにし、「処分に特に問題があるとは思わないが、要旨を確認して今後を検討する」と話した。

 決定によると、次男は以前から父親から暴力を伴う学習指導を受けており、今春頃からは「父がいなくなればいい」と考えるようになり、6月末には期末テストの成績が悪く、夏休みに厳しい指導を受けるとの恐怖を持った。事件の2日前に、しかられたことから殺害を決意し、7月7日朝、2人きりになった機会に「殺害するには今しかない」と犯行に及んだと指摘した。

 会見で鳥居弁護士は、決定内容について検討が必要として詳しく立ち入らなかったが、審判の中で同施設送致が相当との付添人意見書を提出したことを明かした上で、「規律などのストレスがある少年院より、児童自立支援施設の方が健全育成が図れる」と処分内容への理解を示した。

 審判には次男の母親も出席したが、鳥居弁護士によると、「動揺しており、少年を今、受け入れることは困難だ」という。

 決定では、入所後2年で通算180日間までの強制的措置がとれるとしているが、県内にそうした施設がないことから次男は県外で更生を目指すことになる。

 一方、次男の同施設入所が決まった場合、更生を指導することになる出雲児童相談所は、受け入れ態勢の確認に入った。

 同相談所の藤井弘一所長は、次男の今後について、「なるべく早く入所させ、母親と定期的に会う機会をつくりたい。児相の担当職員が適宜次男を訪ねたり、まだ気持ちが安定していない母親のケアをしたりして、直接支援する」とした。

(2009年9月5日 読売新聞)
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 児童自立支援施設に入るには、児童相談所を経て入る場合と、家庭裁判所の審判の結果で送致される場合とがあります。家裁の審判で入る割合は全国平均で2〜3割でしょうか。社会的に話題となり新聞に載ったりするのは、この家裁からの送致の場合ですね。今回のケースも家庭裁判所の審判によるものです。聞きなれない「強制措置」なるものもありますが、これがつくと、利用できる施設は限られますね。話を戻しますが、家裁からの送致が2〜3割ということは、それ以外の7〜8割が児童相談所を経て入所するのですが、その内容は雑多です。こちらが話題になることは少なく、どうも世間のイメージは「大きな事件を起こすと送られるところ」「少年院とどちらか選ばれる施設」というイメージが形成されていっているのでしょうか。

 ちなみに家庭裁判所の審判で下される結果は
 ・少年院送致
 ・児童自立支援施設児童養護施設へ送致(児童養護施設はまずない)
 ・保護観察
 ・試験観察
 ・不処分 
 とあり、こう並べられると「少年院の一歩手前」という暴言が出てくるのですね。