新聞記事:使途に苦慮 「子ども手当」で児童福祉施設  大分合同新聞 [2010年5月30日]

 中学生以下の子どもがいる世帯を対象に、6月から支給される「子ども手当」。児童福祉施設では、一部の子どもについてのみ、親に代わって施設が相当額を受け取る。だが、貯蓄には回せず、本年度中に使い切らなければならないため、施設関係者は「みんな一緒に暮らしているのに、一部の子だけを区別した対応はできない。どう使えばいいのか」と戸惑っている。

 国は今回、「子ども手当の恩恵が行きわたるべき」として、親がいない子、強制入所の子について、子ども手当相当額の支給を決定。本年度は「安心こども基金」から予算を捻出(ねんしゅつ)した。単年度予算のため使途が制限され、本年度中に使い切らなければ返還義務が生じるという。
 親の病気や経済的な理由、虐待などから、施設や里親の元で暮らす子どもは県内で479人(3月末現在)。県の調査では、そのうち38人について子ども手当相当額が支給される。
 ある児童養護施設では、47人の入所児童のうち対象者は1人。施設長は「ほかの46人のことを考えると、目立つようなことはできない。対応が本当に難しい」。別の施設長は「対象の子どもだけ遊園地に連れていき、あとは留守番なんてことはできない。もらわない方が不公平感がなくていいとさえ思ってしまう」。

進学や自立「備えたいのに」
 貯蓄できないことに関して、施設長の一人は「財源の出どころが違うとはいえ、施設の子どもだけ使い方が制限されるのはおかしい」。別の施設長も「親がいないからこそ、進学や自立に蓄えたいという思いも強いのに…」と憤る。
 県児童養護施設協議会の出納皓雄(あきお)会長は「社会の見守りを最も必要とする子どもが恩恵を受けにくい状況になっている。どの施設も対応に苦慮している」と話している。

来年度以降は未定
 厚生労働省雇用均等児童家庭局総務課の話 貯蓄したいという意見は寄せられているが、特別支援事業としての補助金の性質上、使い道を制限せざるを得ない。施設長が親権者に代わって金銭管理をするのは民法上、問題もある。来年度以降の対応はまだ決まっていない。来年の通常国会で審議されるだろう。

<メモ>子ども手当は、次世代の社会を担う子ども一人一人の育ちを社会全体で応援するのが目的。本年度は子ども1人当たり月額1万3千円を、児童手当に準じて「監護のある(養育・監督をしている)親」に原則支給する。児童養護施設で暮らす親のいない子どもなどは児童手当の対象外だった。

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お役所仕事には、困ります。そんなの、子どもには関係ないし、「最善の利益」を保証してないですよね。
親がいないからこそ、将来に備えて貯蓄したいのに、それができないなんて、矛盾しすぎ。
また、「1万3千円を使い切らなければならない」なんてことも、金銭感覚がズレるので、したくない。
結局は、「子どもの利益を…」なんて言いながら、表面上だけの施策を行っているに過ぎない。
ちなみに、使い切らない場合は、返還する様に聞いています。扱いがあまりにも違うのではないでしょうか。